レッスル小説

書庫開設

 過去に掲載した小説とマンガのまとめページを作成しました。

 書庫・ラ・フクロコージ

 阿呆なタイトルですが、始めから順に読み返したい方(自分含む)向けのページです。

(2009.5.17)
 「レッスル以外の小説」にドラクエⅢ小説を掲載しました。

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ドッグカラー・チェーンデスマッチ めぐみVS鏡

「ふふ…よくお似合いですわよ。」
 リング上で鏡明日香が見つめる先には、対戦相手の武藤めぐみが恥ずかしげに首元を押さえている。めぐみのリングコスチュームには通常、皮の首輪がデザインされている。だが、今日はファッションのそれではなく、本物の首輪が嵌められていた。
「今日は千種さんの代わりに、たっぷりとしつけて差し上げますわ。」
 挑発する鏡をきっと睨みつける。
「しつけが必要なのは野良犬のあんたよ!」
 めぐみの首輪からぶら下がる鉄の鎖。鎖の先端は鏡の嵌めている首輪へとつながっている。
 ドッグカラー・チェーンデスマッチ。通常のチェーンデスマッチは互いの手首を鎖でつなぐが、これは首輪にチェーンを結ぶ形式、敗れればまさに負け犬という過酷なデスマッチである。
「確かに野良犬かもしれませんが、仕える相手は自分で選びますわ。」
 瞳を輝かせ、鏡が鎖に口付ける。
「あなたは、私の飼い主になれますか?ふふふ…。」
「そんなのゴメンよ。あんたと遊んであげるのも、これでお終いにするわ!」
 こんな所で時間を潰してられないの。めぐみは心で付け加える。
 親友の結城千種に敗れ、チャンピオンへの挑戦権を失っためぐみにヒールの鏡がちょっかいをかける。いつしか、めぐみと鏡の抗争が団体内で定着していく。そうこうしているうちに千種はベルトを奪取、団体のエースとして着実に成長していった。
 開くばかりの立場の差に、めぐみは苛立っていた。落ち目のヒールと遊んでいる暇はない。こんな色物めいたデスマッチを受けたのも、鏡との抗争を終わらせて、再び千種へ挑戦するためだ。

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桜井千里小説 その8(終) 「プレゼント」

「これが、私…?」
 テーブル一面に広げられた写真の山の一枚を手に取り、桜井千里が唖然と見つめる。
 自分で言うとまるでナルシストのようだが、確かに綺麗だと思う。少なくとも普段鏡でみる自分とは別人だ。
「それにしても…。」
 午前中と午後からの写真ではまるで別人だ。気持ち一つでこうも変わって見えるものなのかと、改めて驚く。
「素人の私でも、使えないって分かるわ。」
 やる気のなかった午前に撮られた写真がまとめて段ボール箱へと放り込まれる。

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桜井千里小説 その7 「リベンジ」

 桜井の打撃がクライを襲う。だが、さすがにクライも一流のストライカー。桜井の攻撃に対応し、自分のペースを取り戻す。試合は互角の打撃戦となった。
「調子に乗るなよ、サクライ!」
「ようやく五分の勝負。…ならば!」
 私はもっと強くなれる!桜井の瞳が確信に輝く。

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桜井千里小説 その5 「覚醒」

 穏やかな空気の中、撮影は進む。
 撮影スタッフの様子を把握できるほどに、今の桜井には余裕がある。ここで、カメラマンの2つ目の言葉を思い出す。
「もし余裕ができたら、ポーズを取っている自分の姿を客観的に思い浮かべて欲しい。そうすることで、作品の完成度は一気に上がるから。」
 意識を全身に走らせる。確かに。今、自分がどのような姿勢でいるのか、はっきりと理解できる。さらに日差しや銀板による光の強さと角度。木々の葉による影の形。シャッター音と同時に作られる、写真の完成図までが頭に浮かぶ。
「こんな格好、初めて…。でも…。」
 普段やったこともないような大胆なポーズ。よくよく考えると恥ずかしいのだが、嫌悪感はない。なぜなら、好奇の視線を誰からも感じることがないのだから、いやらしいことはされていないということだ。
「どんどん良くなってきてるよ。はい、そのまま視線を左に切って。」
 カメラマンの声に熱がこもる。おそらく順調に撮影できているのだろう。
 自分自身、いまだに魅力の有無も必要性もよくは分からない。ただ、彼が満足できる被写体であることだけは確かなのだろう。少しほっとする。
 ならば。
 写される自分自身を把握することで、カメラマンの求めるものが分かるかもしれない。
 意識をさらに全身に集中させる。

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桜井千里小説 その4 「撮影再開」

「右腕をもう少し上げてくれるかな?」
 すすっ。
「はい、そこでストップ。」
 ぴた。
「うん、いいよ桜井さん。その調子。」

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桜井千里小説 その3 「真剣勝負」

「逃げるつもりはありません。」
 休憩時間にまで追いかけてくるということは監視目的なのだろう。カメラマンから手渡されたスポーツドリンクに口をつけ、桜井は視線も合わせずぼそりとつぶやく。
「そんなことは思ってないよ。ただ、モデルさんの人となりを少しでも把握したいから、オフの時間も目を離したくないだけさ。」
 よほど警戒されているなと思い、頭をかきながらカメラマンが答える。

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桜井千里小説 その2 「退屈」

「写真集…?」
 ぽかんと社長の言葉を繰り返す桜井。珍しい表情だ。
「ああ。ウチのメンバーも世話になっているカメラマンからのオファーがあってな。」
 社長が一冊の写真集を手渡す。先輩レスラーを撮影したその本は、確かに水着など露出度の高い格好ではあるが、いかがわしさはなく、同性の目から見ても美しく撮影されている。
「それと私に何の関係が…?」
 桜井には自分と写真集がどうつながるのか理解できないでいた。
「だから、お前をモデルに写真集を作るんだ。次の週末には出発だから用意しておくんだぞ。」
 社長の説明にようやく理解した桜井の顔色が変わる。
「バカバカしい…。私は強くなりたいんです!こんなことやってる場合じゃ…!」
 前日の敗北の記憶が甦ったのか、今にも飛び掛りそうな勢いで叫ぶ。
「ダメだ。すでにOKの返事はしてある。今さら変更はできん。」
 社長はさらりと言ってのける。
「ちゃんとお仕事してくるんだぞ。プロなんだからな。」
 ダメ押しの言葉に、桜井は了承せざるを得なかった。

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桜井千里小説 その1 「スランプ」

「顔をもう少し右に向けてください。」
「視線はそのままで、体を左に回しましょう…。はい、そこでストップ!」
 白いビキニに身を包んだ少女が、指示に合わせて体を動かす。ポーズが固まるたびに響くシャッター音。
 声の主はグラビア撮影を得意とするプロのカメラマン。彼はモデルの少女だけでなく、スタッフ全員に細かい指示を送りながらシャッターを押す。
 南の島での写真集撮影。引き締まりながらも女性的な膨らみを主張する身体、一本に束ねた緑の長い髪。そこらのアイドルなど足元にも及ばない容姿の持ち主は、グラビア撮影とは思えない険しい表情でレンズを睨む。
「こんなことしてる場合じゃないのに…。くだらない…!」
 プロレスラー、桜井千里は早く撮影が終わることだけを願っていた。

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ママの昔話 3(終)

 男と結ばれた美鷹は、やがて女子プロレスを巡るビッグマネーに絡んだ政治的陰謀に巻き込まれることとなる。
 死と隣り合わせの日々ではあるが、男との逃避行は充実した毎日でもあった。
 だが、そんな生活に異変が生じる。美鷹の体調不良だ。裏世界の医者から診断を受けた美鷹は男に報告する。
「あなたと私の赤ちゃんよ。」
「俺の…子ども?」
 妊娠の報告に男は飛び上がって喜ぶ。だが、同時に決断を迫られることとなる。
 今の生活では妻はおろか、お腹の子どもの命も危ない。
 男は美鷹を自分の実家へ預けることとした。地元の名門である男の実家は各方面に顔が利き、護衛も完璧である。妻と子を守るにはうってつけの場所であった。
 実家も喜んで美鷹を受け入れた。軍隊に入ると言って飛び出した息子が、別嬪さんを嫁としてつれてきた。しかも孫のオマケ付である。親戚一同集まっての大騒ぎとなった。

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ママの昔話 2

 男は団体を退職し、フリーの身となった。表向きはエースを守ることのできなかった責任を取るためであるが、実のところは違う。
「必ずあいつを捕まえてやる。」
 男の心は完全にギルティ美鷹に奪われていた。彼女を追って世界を駆け回る男の姿は裏の世界でも知れ渡ることとなる。
「しつこい男は嫌われるわよ。」
「あきらめの悪い男が最後には勝つんだよ。」
 常にあと一歩の所まで追い詰めるが、最後には美鷹に逃げられてしまう。美鷹も男とのチェイスを楽しんでいるようだ。

 しかし、刺客として裏の世界を知る美鷹を快く思わない者もいる。

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ママの昔話 1

 男はとある女子プロレス団体のコーチを勤めていた。コーチングの能力はもちろんのこと、用心棒としての腕も買われてのことだ。ライバル団体からの妨害やストーカー紛いの悪質なファンから選手を守るためである。

 あるシリーズの前日、刺客が送られて来るとの情報が男の耳に入った。狙いは団体のエース選手。
 なるほど、男には思い当たる節があった。
 今年に入って団体のエースとなったその選手は、己の功名心のためだけに他団体の選手を何人も潰してきた。コーチである男も暴虐を諌めようと努力はしたが、天狗になった彼女は言うことを聞かない。
 自業自得。男は思ったが、一応団体のエース様だ。守らざるをえない。やれやれと男は用心棒としての仕事を請け負うこととなった。
 刺客といっても本当の殺し屋ではない。フリーのレスラーが小遣い稼ぎに行っているのがほとんどである。手口は因縁をつけてケンカに持ち込むか、スパーリングにかこつけて相手を潰す。本番の試合中に『仕事』をこなせる刺客はまずいない。したがって、得体の知れない輩に近づけなければOKである。
 今回のシリーズには、フリーの選手が三人参加している。男は注意深く三人の動きを観察するが、実力は中堅かそれ以下、性格も温厚でケンカを売るタイプではない。少なくともウチのエースに仕掛けられるほどの技量は持ち合わせていないようだ。
 しかし、能ある鷹は爪を隠す。試合以外では団体の選手と距離を置かせ、合同スパーも行わせないように隔離し続けた。

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ビューティ市ヶ谷VS大空みぎり 5(終) ~新タッグ誕生~

 ビューティ市ヶ谷と大空みぎりの試合。それを通路から見つめる三人の少女がいた。
「うわー、市ヶ谷さんってやっぱり強いなあ!」
「大空選手をさらに上回るパワー。計算不可能です。」
「………。」
 相羽和希、杉浦美月、ノエル白石。新興団体に所属する若手レスラーである。市ヶ谷とツテのある社長の依頼でスポット参戦しているのだ。
「見るのも勉強だって、社長は言ってたけど…。ボクたち市ヶ谷さんみたいになれるのかなあ。」
「あの人は規格外ですから。それでも、試合の作り方は参考になるかと思いますが。」
「………。」
 和希と美月の横で、ノエルはじっとリングを凝視している。
「どうしたの?ノエルちゃん。さっきから黙ったきりだけど。」
「………。」
 ノエルはくるりと二人に視線を向ける。
「和希…美月…。さよなら…。」
 ぽつりとつぶやくと、リングに向かって駆け出す。
「ノエルさん!?」
「ノ、ノエルちゃん!どうしちゃったの!」

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ビューティ市ヶ谷VS大空みぎり 4 ~控え室にて~

 寿千歌の刺客、大空みぎりを女王の貫禄で圧倒した市ヶ谷であったが、レフェリーの勝ち名乗りを拒否し、憮然とした表情で花道を引き上げる。
 リングにはいまだ起き上がれずにいるみぎりと、介抱のため寄り添う千歌だけが残された。

 人払いをし、誰もいない控え室。崩れ落ちるようにベンチに座り込む市ヶ谷。今までの余裕は消え失せ、苦悶の表情が浮かび上がる。と、扉を誰かがノックする。
「入るわよ。」
 答えも待たずに、南利美が扉を開ける。

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ビューティ市ヶ谷VS大空みぎり 3 ~格の違い~

 大恩ある千歌のため、みぎりは市ヶ谷に立ち向かう。
「今度は何を見せてくださいますの?」
 市ヶ谷は余裕の笑みで迎え撃つ。と、頭上が翳る。次の瞬間、脳天に衝撃が走った。
 二階からのチョップ。死角からの攻撃に膝がぐらつく。
「まだまだです!」
 今度は両腕を振り下ろす。二本の鉞となったみぎりのダブルチョップが市ヶ谷の両肩をえぐる。
「ぐっ…っ!」
 思わず腰が落ちかけるが、それでも踏みとどまる。
「腕を振り下ろしただけで、この私を跪かせることなど…できませんわ。」
 なおも気高さを崩さない市ヶ谷の首をみぎりの右腕が抱え込む。
「えーと、確かこうやって…。」
 つぶやきながら、みぎりは左腕でコスチュームの腰周りに手をかける。自らが受けたブレーンバスターの体勢だ。
「うん…しょっと!」
「…!」
 腰を静めることなく、いきなり市ヶ谷を持ち上げる。チョップのダメージか、タメのない動きのせいか、抵抗する間もなく市ヶ谷は直に抱え上げられてしまった。
 みぎりやグリズリー山本には及ばないものの、市ヶ谷も女子レスラーの中では大柄な部類である。その市ヶ谷を軽々と担いでしまうみぎりに、会場から驚きの声が上がる。
「…あっ!」
 客席の驚きをよそに、みぎりは大変なことに気付いてしまった。
「ここから…どうしましょう…。」

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ビューティ市ヶ谷VS大空みぎり 2 ~女王は退かない~

 構えなど不要とばかりに、市ヶ谷は悠然とリング中央へ歩を進める。
 と、その胸元にみぎりの右手がぶつけられる。ヘビー級のラリアートをしのぐ逆水平チョップだ。
 衝撃音が会場に響く。
 しかし、市ヶ谷は下がらない。みぎりは右腕を振り切った反動を生かして、今度は左のチョップを打ち込む。
 並のレスラーなら、この連打で充分にKOできるであろう。だが、市ヶ谷は涼しい顔で自慢のバストを突きつける。
「ただ腕を振り回しただけで、私に通用すると思って?」
 言うと同時にダンッと踏み込み、市ヶ谷のチョップがみぎりのみぞおちに食い込む。
「ぐっ!」
 たった一発の攻撃でみぎりの巨体がよろめく。
「この程度も踏ん張れないなんて、これだから素人は…。」
「なら、これはどうですか~。」
 あざ笑う市ヶ谷の腕を掴むとロープに振り、カウンターキックを叩き込む。幾分のけぞるものの、市ヶ谷が下がることはない。
「もう一回です~。」
 再度ロープに振り、迎撃すべく右足を上げる。しかし、市ヶ谷はその右足めがけてタックルをぶつける。バランスを崩し、ダウンするみぎり。
「足を上げただけでは攻撃とは言えませんわね。」
 無様に尻もちをつくみぎりに、会場から失笑が漏れる。
「まだまだ、勝負はこれからですよ~。」

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ビューティ市ヶ谷VS大空みぎり 1 ~大型台風上陸~

 ビューティ市ヶ谷率いるJWI。
 シリーズ最終戦のメインイベント。リング上で市ヶ谷は不満げに視線を上に向ける。
 市ヶ谷の前に立つは190センチの巨人、大空みぎりである。みぎりは市ヶ谷の視線に動じることなく、レフェリーの注意にうんうんと頷いている。

 大空みぎりは本来、寿千歌軍の一員として新女こと新日本女子プロレスに参戦しているはずである。確かに、みぎりは新女正規軍との抗争を繰り広げていた。ところが、打倒市ヶ谷をあきらめきれない千歌はみぎり一人を引き連れ、JWIへと殴り込みをかけたのだ。
 その巨体から色モノ的な見方をされたみぎりであったが、小川ひかるを秒殺、村上姉妹とのハンディキャップマッチも二人まとめて圧殺刑、ついにはJWIナンバーワンの巨漢、グリズリー山本を必殺の超高層ボディスラムで場外へ投げ捨てて失神KO勝ちしたとあっては評価が一変する。
 吹き荒れる大型台風の猛威に、小川の師匠である南利美、ヒールトップの八島静香が打倒みぎりに名乗りをあげる。しかし、
「あんなウドの大木に好き放題させるとは何たる失態。私直々に黙らせましょう。」
 団体エースの市ヶ谷自らが、みぎり退治を発表したのだ。
 敗れれば千歌を喜ばすどころか、団体の危機である。だが、市ヶ谷は涼しい顔で言ってのけたのだ。
「あの素人娘、いいえ我が団体のメンバーならびに全国600億の私のファンに、本当のプロレスと言うものを教えてさしあげますわ。オーホッホッホッホ!」 

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拍手ん大魔王

 「web拍手ボタン」なるものを置いてみました(右上参照)。
 今まで、こんなたいそうな物を置いてもなあと思っていたのですが、コメント欄のように足跡を残すことなく言いたいことが言えるという利点をどこかで見まして、それも一理あるかってことで置いてみました。ですので、拍手なんて立派なモノじゃなく、匿名の意見箱としてご利用いただけるとうれしいです。
 一応、「女豹の蜜」の没ラスト案を載せていますので、興味のある方はどうぞ。

 以下、こんなご意見お待ちしてますのコーナーと、コメントレスです。

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レレレお昼の劇場「女豹の蜜」最終回

 リング中央に対峙した理沙子と今日子は、ゆっくりとロックアップの体勢に入る。
 何年も恋焦がれた今日子の肌の感触に、理沙子の瞳が潤む。
「……!?」
 しかし、感慨に耽る間もなく理沙子の腕関節が捻り上げられる。慌てて切り返すと、今度は今日子の腕を取る。スタンドでの腕の取り合い。基本的な技術であるが、熟練者同士ならば充分に観客を沸かすことのできるテクニックである。右腕、左腕、めまぐるしく攻め手が変わり、くるくるとまるでダンスのような攻防が続く。

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レレレお昼の劇場「女豹の蜜」第10回

 たった一つの忘れ物。
 大事な、大切な忘れ物。
 忘れて、いいのですか…?

(この物語はダイジェストでお送りします。)

***

 深夜の練習場。
 練習熱心な新女の猛者といえど、さすがにこの時間では宿舎で眠りについていることだろう。
 だが、暗闇の中、一人の女性が静かにリングを眺めていた。
「このリングとも、お別れね…。」
 パンサー理沙子である。翌日(いやすでに本日であるが)に婚約会見を開く彼女は、さらにレスラーの引退も宣言するつもりであった。
 目を閉じ、息を吸い込む。練習場の空気が今までの記憶を呼び起こす。
「本当にいろいろあった…。でも、悔いはない…。」
 入団、上原とのタッグ。そしてアジアヘビーチャンピオンとしての栄光。時代を託すに値する新星たち…。プロレスラー、パンサー理沙子として思い残すことはない。それだけは断言できた。
「だけど…。」 
 だけど心の欠片が一つ足りない。それはパンサー理沙子ではなく、一人の女、佐久間理沙子として満たされぬものであった。

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レレレお昼の劇場「女豹の蜜」第9回

 雨のち晴れ、
 のち…
 嵐。

(この物語はダイジェストでお送りします。)

***

 ガルム小鳥遊の来襲から一夜明け、空は快晴。上原今日子も同じく清々しい気分であった。
「まずは、動こう…。今までだってそうしてきたじゃないか。」
 決意を固める上原。
 その背後に、大高はるみが駆け寄る。
「う、上原さん!大変です!こ、これ…。」
 息を切らせて、スポーツ新聞を手渡す。慌てふためく大高の表情に苦笑いを浮かべながら、上原は視線を一面に移す。
「…っ!」
 上原の息が止まる。暗転する世界。
「…嘘…だろ…?」
 見出しを飾る言葉は、

「パンサー理沙子、結婚!」

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レレレお昼の劇場「女豹の蜜」第8回

 雨はいつか上がる。
 見上げてごらん、
 光差すその先に…

(この物語はダイジェストでお送りします。)

***

 リング上で激しくやり合う上原と小鳥遊。
 始めこそ、勢いにまかせ主導権を握っていた上原であったが、次第に動きが鈍り劣勢となる。
 帰国後、試合から離れ、新団体設立の準備と新人の育成に追われていた上原と、未だ現役ヒールとして活躍している小鳥遊では、明らかに地力の差があった。
「どうした!この程度で新しい団体のエースだってえのか!」
 小鳥遊のボディスラム。上原は受身を取るだけで精一杯である。
「しょせん理沙子ひとり本気にできない弱小レスラーなんだよ、テメエは!」
「うるさい!」
 上原はドロップキックを放つが、小鳥遊はびくともしない。
「オラオラ!元気なのは口だけか!?」
 小鳥遊のストンピングが上原を踏みつける。
「リングにオマエの居場所はないんだよ!この国から、理沙子の前から消えちまいな!」
「黙れぇっ!」
 さらに踏みつけようとする足にしがみつくと、逆転のドラゴンスクリュー!
「何っ!?」
 小鳥遊のような巨漢レスラーにとって、ヒザへの攻撃は致命的である。うずくまり動けないでいる顔面へ、さらに上原は低空ドロップキックを叩き込む。
 互いにダメージが大きく、息を整えながらにらみ合う。
「へっ、チャンスだぜ。そーいうツメの甘さがオマエの弱点なんだよ。」
「………。」
 挑発に乗らず、動きを伺う。いや、小鳥遊の言葉に思いをめぐらせているのか。
「技も気持ちも同じだ。ぶつける時にぶつけねえで、何が伝わるっていうんだ!」
 ヒザを押さえながら立ち上がる小鳥遊。瞬間、上原が動き出す。
「これで終わりだ!」
 足から小鳥遊の首に飛びつき、必殺のフランケンシュタイナーを狙う!
「そうはいくかッ!」
 だが、痛むヒザも構わず小鳥遊がふんばる。
「うおおおおお!」
 そして、上原の状態を持ち上げると一気に投げ捨てる。上原は受身も取れずに頭からマットに叩きつけられてしまう。
「まだだ、まだ終わってないぞ…。」
 それでも上原は立ち上がる。直後、その体は猛烈なパワーによってなぎ倒される。
 ガルムズディナー。ガルム小鳥遊必殺のショルダータックルである。
「これで決まりだな。」
 自分を見下ろす小鳥遊の姿をかろうじて確認すると、まだまだと起き上がろうとする。
「……ッ!」
 だが、全身に激痛が走り動くことができない。
「分かったろ、これがオマエの実力だ。」
 小鳥遊の冷淡な言葉に、言い返すこともできない。
「だがな、プロレスに対する執念だけは伝わったぜ。その想い、ぶつける相手がもう一つあるだろ?」
 ニヤリと笑う小鳥遊。
「小鳥遊…オマエ…。」
 かろうじて上原の唇が動く。構わず小鳥遊は背を向けるとリングを下りる。
「旗揚げのご祝儀はここまでにしといてやるよ。遊びたけりゃ、いつでも呼んでくれや。」
 暴れただけ暴れ、言いたいだけ言ってガルム小鳥遊は練習場を後にした。
「あいつ…。」
 かろうじて起き上がる上原だが、体勢が崩れる。
「危ない!」
 慌てて上原の体を支えるのは、
「はるみ…。」
 大高はるみであった。その周りには練習生の金森、後野、沢登の姿も見える。
「お前たち、いつの間に…。」
 ばつが悪そうに頭をかく上原。
「見ての通り、今の私はガルム小鳥遊にKOされる程度の力しかない。こんな私が社長で、コーチで、それでも…いいのか?」
 呆れて見捨てられるかもしれない。だが確認せずにはいられなかった。
「当たり前ですよ!」
「私たちの師匠は上原さんしかいないんですから!」
「だいたい、上原さんは私たちのコーチに忙しくて自分の練習ができなかったから、こんな結果になっただけで、」
「上原さんが練習に打ち込めるようになれば、絶対勝てますよ!」
「それよりも私たちが強くなって、アイツをやっつけてやるんだから!」
「だから、私たちを強くしてください!上原さん!」
「お前たち…。」
 頼もしい台詞で自分を慕ってくれる練習生たちを見つめる上原。最後に大高と目が合う。
「…本当に…いいのか?」
 口に出さずに尋ねる。彼女を傷つけた自分の行為は許されるものではない。今、この場で罵倒される覚悟もできている。だが、
「何があっても、私の…私たちの師匠は上原さんです!」
 大高は力強くうなずいた。
「……ありがとう…。」
 若い力と明るさに、上原は心から感謝した。
「あとは…。」

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レレレお昼の劇場「女豹の蜜」第7回

 残した者、
 残された者、
 痛みを分かち合うことなど、できはしない。

(この物語はダイジェストでお送りします。)

***

「営業活動だと…?」
 突然の侵入者、ガルム小鳥遊の言葉に上原は眉をひそめる。
「そうさ。来月、旗揚げ興行だと聞いてね。対戦相手の売り込みってわけさ。」
 薄ら笑いを浮かべる小鳥遊に真剣さは感じられない。
「ウチは新人ばかりなんでね。お前の相手ができる選手はいないんだ。帰ってくれ。」
 小鳥遊の横柄な態度に、上原は目を合わせることなく答える。
「いるじゃないか、そこに。」
 構わず、小鳥遊は上原を指差す。
「ブレード上原。アンタならアタシの相手が務まるだろうさ。」
 だが、上原は挑発には乗らない。
「あいにく、私の相手はすでにAACから呼んでいる。お前の出る幕はない。」
 くくく…と小鳥遊は腹の底から笑う。
「そうだな、パンサー理沙子の本気すら引き出せずに逃げたアンタだ。アタシに勝てるわきゃないか。」
 理沙子の名に反応する上原。
「帰ってきたかと思えば、女々しく理沙子の側で新団体なんか作りやがって。自分好みの女囲ってハーレム気取りか?それで振られてりゃ世話ねえな!」
「黙れ!」
 たまらずリングに上がる上原。頭に血が上りやすい性格は変わっていない。
「アタシはオマエのいない間、パンサー理沙子の欲求不満を解消させてやったんだよ。」
「黙れ!黙れ!」
2008060301

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レレレお昼の劇場「女豹の蜜」第6回

 捨てたはずの想い。
 あきらめたはずの想い。
 消えることなく、ただ膨れ上がっていく。

(この物語はダイジェストでお送りします。)

***

 ブレード上原=上原今日子は東京郊外にジムを構え、「太平洋女子プロレス」を旗揚げすべく練習生を鍛え上げていた。
 メキシコに再度渡ることも考えたのだが、国内に留まり新しい才能を伸ばす道を選んだのだ。
 経営、コーチ、選手…と何足ものわらじを履いた毎日は、目の回る忙しさだが、充実した生活であった。それに、忙しければ忙しいほど余計なことを考えずにすんだ。
 理沙子との時間は過去のもの。上原も次第にそう思えるようになってきた。

 が、一人の練習生との出会いが、上原を再び運命の舞台に立たせることとなる。

 大高はるみ。
 最も遅く入団した練習生である彼女は、上原の教えを誰よりも早く吸収し、上達していった。間違いなく彼女は太平洋プロレス、いや日本だけでなく世界のトップを狙える逸材だと上原は確信していた。
 大高の才能、そしてプロレスに対する一途な情熱。容姿は似ていないものの、自分を見つめる熱い視線は上原に理沙子を思い出させるには充分であった。
 次第に大高へと心惹かれる上原。いつしか、自分の技だけでなく理沙子の技まで教えてしまう。持ち前の純粋さで大高は二人の技を自分のものにしていった。
「いいのか…これで。私は本当にはるみを強くしているのか…?」
 上原の心に迷いが生じる。なまじ覚えがいいだけに不安が大きくなる。
「私は…はるみに何をさせたいんだ…?」

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レレレお昼の劇場「女豹の蜜」第5回

 想いを乗せた拳は果たして届くのか?

(この物語はダイジェストでお送りします。)

***

「…むっ…。」
 斉藤が目を開く。と同時に全身に痛みが走る。
(そうだ、私は吉原さんと…。)
「気が付いたみたいね。」
 吉原が90度横の角度で覗き込む。なるほど、自分は気を失い介抱されていたのか。
「つぅッ…!」
 起き上がろうとするが、後頭部を激痛が襲う。吉原は斉藤を優しく寝かしつける。
「駄目よ、無理しちゃ。しばらく横になっていなさい。」
 吉原の口調は穏やかだ。先ほどまでの険しさは微塵も感じられない。
「ありがとう、斉藤さん。あなたの気持ち…ちゃんと届いたわ。」

 新旧空手王者の攻防は熾烈を極めた。斉藤の容赦ない打撃に対し、吉原も同じく打撃で譲らない。スピードと切れでは現王者に分があるものの、一撃の重さは旧王者が上を行く。
 一進一退の攻防も、次第に斉藤が優勢となる。スタミナの面では吉原が不利であった。
「これで決める。」
 斉藤の飛燕脚が吉原を襲う!だが、最後のハイキックをキャッチすると、そのまま足を抱え込んでのスープレックスで投げ捨てる!投げ技の受身を知らない斉藤は頭から落下し、気絶してしまったのだ。

「やっぱり強いですね。私なんか偉そうに啖呵を切っておいて、この有様ですから。」
「いいえ、斉藤さんは強かった。空手で勝てそうにないから、最後はプロレス技を使ったのだもの。」
(確かに、空手家の身体ではないな。)
 もぞもぞと頭の位置を整えながら、うっすらと脂肪の乗った太股の柔らかさを感じていた。
「あの時の理沙子さんも同じ気持ちだったのかな…。」
 在りし日の戦いに想いを馳せる吉原。その瞳に曇りはない。

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レレレお昼の劇場「女豹の蜜」第4回

 愛することは狂気への扉を開くことなのか…。

(この物語はダイジェストでお送りします。)

***

「ごめんなさい、吉原さん。私は今日子がいないと駄目なの。」
 理沙子が悲しそうに頭を下げる。その姿がどんどん遠ざかる。
「待って理沙子!上原はもういない!私が、私が側にいるから!」
 吉原は必死に追いかけるが、一向に追いつかない。
「そうさ、理沙子は私のものだ。勘違いもいい加減にしておけ。」
 突然、ブレード上原が理沙子の横に現れる。その胸に顔をうずめる理沙子。
「上原ぁっ!貴様っ!」
 拳を振り上げる。と、目の前に今度はガルム小鳥遊が現れる。
「アンタは用済みなんだよ。ほら、足元を見てみな。」
 目線を下に向ける。地面がなく、底の見えない暗闇だ。がくん、と吉原の体が闇に吸い込まれる。
「嫌だ、嫌だ!理沙子、理沙子、理沙子ォォ!」
 叫ぶが、落下速度は上がるだけだ。
 落ちる、落ちる、ひたすら落ちてゆく。どこまでも…。

「…っ!?」
 カッと目を見開く。溺れかけたかのように、呼吸が荒い。体も恐怖にすくんでいる。
「…!?」
 視線を横に向ける。そこには。
「…夢…か…。」
 穏やかな寝顔の理沙子が隣にいる。いつもの光景だ。
「理沙子…。」
 起こさぬように、静かに吉原は上体を起こす。夕立にでも遭ったかのように、全身汗まみれであった。
「シャワーでも浴びようかしら。」
 何も着ていないのだから、着替えは必要ない。ベッドから出ようとするが、目が理沙子から離れない。
 自分の腕の中で眠る理沙子。その姿が吉原にとって最も幸せなひとときであった。そして、
「…今日子…。今日子…。」
 夢の中で上原を呼ぶ理沙子。その声を聞かされる瞬間こそが、吉原の最大の地獄でもあった。
「なぜ、なぜ私じゃないの…?私はこんなにも、あなたのことを…。」
 あまりにも残酷な時間。理沙子と過ごす夜は、確実に吉原の神経を蝕んでいた。
 そっと髪を撫でる。安心したように笑みを浮かべる理沙子。
「ふふっ、大好きよ今日子…。」
 吉原は笑みを浮かべていた。自分ではない名前を呼ばれて笑っていた。
「そう、あなたに笑顔を与えられるのは私だけ。何を言おうと、理沙子の身体は私の手の中なのよ。上原も小鳥遊も関係ない。誰にも渡さない。理沙子の心だって、私のものなんだから…!」
 いよいよ吉原の狂気は坂を転がり始め、加速していくのだった。

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レレレお昼の劇場「女豹の蜜」第3回

 ブレード上原の帰国は、理沙子にとって最大の朗報。

 しかし、運命はさらなる試練を理沙子に、いや彼女に関わる者すべてに与えるのである。

(この物語はダイジェストでお送りします。)

***

「どうして会いに来てくれないの…。」
 理沙子はため息をつく。
 上原が帰国して1週間。理沙子は上原に会えずにいた。現在の連絡先がマスコミを通じても不明のため、こちらからはどうにもできず、上原が新女事務所を訪れるのを待つしかなかったのだ。
 
 実のところ、上原は吉原との接触の後、新女を訪れていた。もちろん無断失踪の侘びを入れるためである。しかし、吉原の策謀により、理沙子は上原の訪問を知ることなく現在に至る。
 結局、寛容な措置により業界追放は免れたが、上原は新女を退団することとなり、行方をくらます。

 そんなある夜のこと。理沙子は吉原らとともにレストランでディナーを楽しんでいた。
 ふと、理沙子が窓の外に目を向ける。多くの通行人。その中に。
「今日子…?」
 一日たりとて忘れたことのないその姿。フォークを落としたことにも気付かず、目を見開く理沙子。
「あれー、どうしたんですか理沙子さん?チムタクでも歩いてましたか?」
 祐希子の呑気な声に答えることなく理沙子は席を立つ。
「ごめんなさい、用事を思い出したの。支払いは済ませておくから!」
 言い残し、店を飛び出してしまう。
「…まさか!?」
 何かに気付いたように吉原も飛び出す。
「あれ?ミミさんまで!」
 テーブルには祐希子と来島だけが取り残されてしまった。
「…どうしたんだろ、二人とも?」
「さあ…。ただ言えるのは、財布が出て行った以上、追加注文はできないってことだな。」

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レレレお昼の劇場「女豹の蜜」第2回

 肌を合わせた者の運命をを狂わせる魔性の女豹、パンサー理沙子。
 
 最愛のパートナー、ブレード上原(上原今日子)の突然の失踪。
 乾いた心を潤す新たなパートナー、ミミ吉原(吉原泉)。
 敵対することでしか通じ合えない存在、ガルム小鳥遊(小鳥遊薫)。

 彼女たちの運命の歯車は回り続ける…。

(この物語はダイジェストでお送りします。)

***

 ブレード上原の失踪から数年。新女全体を揺るがす大きなうねりが発生した。
 マイティ祐希子ら新世代による革命軍の結成である。若き天使たちの力はついに時代を動かす。
 パンサー理沙子とマイティ祐希子による頂上決戦。死闘の末、理沙子は力尽き、長年守り続けたベルトを失うことになる。
 女王の座から転落した理沙子ではあったが、悔しさよりも安堵感の方が大きかった。
「これからはあのコたちの時代。私もこれで落ち着いて…。」
 新女のエースでなくなった今、上原を探すことができる。そう決めていた理沙子であったが、時代のスピードはそんな余裕を与えてはくれなかった。
 祐希子たち新世代軍は世界チャンピオンをめざすべく、海外へと飛び立ってしまったのだ。結局、理沙子は新女のリングを守り続けることとなる。
 満たされぬ心と身体をパートナーの吉原、抗争相手のガルムに委ねる日々が続く…。
 
 さらに月日は流れ、マイティ祐希子がIWWF世界チャンピオンとなり凱旋帰国する。その1ヵ月後、失踪していた上原が帰国するとの情報が新女に流れる。
 メキシコAACのチャンピオン、エム=サンドとして君臨していた上原だったが、祐希子に敗れたことによってマスクを脱ぎ、メキシコを離れることになったのだ。
 上原帰国の報に盛り上がる新女の選手たち。特に理沙子の喜びようときたら、まるで少女のように泣きじゃくり、周りの者を驚かせた。
「今日子が帰ってくる…っ。今日子が、今日子が…っ。」
 新女は上原の歓迎ムードに包まれていた。
 …ただ一人を除いて。

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レレレお昼の劇場「女豹の蜜」第1回

 この物語はダイジェストでお送りします。

***

 パンサー理沙子とブレード上原はタッグチーム「ハニーバーズ」として、誰もがうらやむ仲であった。
 しかし、新女のエース、ドラゴン藤子を理沙子が破ってから運命の歯車が狂い始める。
 この試合で藤子に怪我をさせ、引退への引き金を引くこととなった理沙子は、恐怖心からリングで全力を出せなくなっていた。
 そんな理沙子の姿を歯がゆく思う上原は、あえて理沙子に反旗を翻し、勝負を挑む。
 だが、理沙子の全力を引き出すことなく、上原は敗れてしまう。
 理沙子を裏切った罪の意識と己の無力感から、上原は行方をくらます。
 残されたのは、上原の真意を知ることなく、裏切られたと言う絶望を抱えた理沙子のみであった。
「…今日子…。どうして…?」

 上原を探そうにも、団体のエースである自分が新女を離れるわけにはいかない。しかも、全力ファイトのできない自分では世界のベルトに挑戦することもままならない。理沙子は熟れた身体を持て余すだけであった。

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バー「YOUJI」

 カラン、カラン。
 
 いらっしゃい。おや、初めて見る顔だね。
 ここはバー『YOUJI』。その名の通りYOUJIキャラが集う店。
 お客さん、ついてるね。今夜は全員揃って大事な話があるらしい。耳を傾けてごらん、彼女たちの声が聞こえてくるから。
 おっと、一つ忠告だ。彼女たちの一人称はかなりいい加減だから、そのことを頭に入れておいておくれ。
 え、何のことかって?分からなければいいんだ。ああ、注文がまだだったね…。

アリシア・サンチェス「レジェンドの人たち、随分イメージが変わったよね。」
エミリー・ネルソン「そうね、より強く描かれているし、」
ジョーカー・レディ「どこぞのグラビアモデルかってほどのセクシーさだよ。」
ジュリア・カーチス「ただでさえ、私たち存在感が薄いのに…。」
ユン・メイファ「ボクたち次回作に出られるのかなあ。」
ソフィア・リチャーズ「まあ貴方たちと違って、この私の人気なら出場は間違いないけどね。」
ミス・マスカレード「ヘタレ人気ですネ?」
ソフィア「誰がヘタレよ!」
 全員が「アンタだよ」と心で突っ込む。
ジーナ・デュラム「(痛い思いしないですむなら、出られなくてもいいんだけど…)」
マリア・クロフォード「その心配はいらないわ。」
グレース・ハン「どういうこと?」
マリア「ソフィアやジーナといった、評価値の低い選手は、若手の対戦相手として必要不可欠だから間違いなく出場できるでしょう。むしろ、かわいい系の絵柄の方が弱い選手としてマッチしてるしね。」
ソフィア「弱いって言うな!」
ジーナ「(やっぱり、次もひどい目に遭うんだ…)」
マリア「問題は…私たち中堅よ。」
ミレーヌ・シウバ「中堅…俺たちのことか?」
マリア「そう、知ってる?私ってザ・USAよりも評価値が高いのよ?」
 一同、改めて攻略本を確認する。
マユリ・シアター「…私はアリス・スミノルフと同じだ…。」
パトリシア・ルイス「私も含め、ジョディ・ビートンより強い選手も多い。」
マリア「wide2絵ならともかく、末次絵で今の話、納得できる?」
 電撃PSを手に沈黙する一同。
エミリー「私たち中堅層にはさかなや選手もいるから、このままではますます影が薄くなってしまいますわ。」
グレース「何か、生き残る方法はないのか?」
 待ってましたとばかりに微笑むマリア。
マリア「私に考えがありますわ。末次絵のレジェンドに共通することは?」
アリシア「筋肉質で…。」
ジュリア「スタイル抜群で…。」
ユン「コスチュームが大胆…。」
マリア「はい、よくできました。特にこの股の部分、」
マスカレード「すっごい、ハイレグですネ。」
マリア「そのとおり、末次絵の多くは急角度のハイレグがポイントです。」
 マリアは女教師口調で続ける。
シウバ「それが何だって言うんだよ。」
マリア「最後まで話を聞きなさい。末次キャラは、ハイレグによるお尻丸出しがウリなのです。それに対して、私たちは。」
 ポンとウエストに手を当てる。
ルイス「だいぶ浅めに履いてるな。」
マリア「そのとおり。YOUJIキャラの多くは浅めのパンツスタイル、ローライズが多い。これは他の絵描きにもない特徴よ。」
ジョーカー「…ということは。」
マリア「私たちはローライズをさらに強調し、極限まで極めるわ。数年前にオタク界隈で流行したローレグキャラとして、お尻丸出しで勝負するのよ!さあ、出てらっしゃい!」

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レッスル小町に挑戦

「週刊レッスル天」様の企画、「レッスル小町」に挑戦しました。祐希子・めぐみ・千種に関する物…ということで、SSを一つ。今日はエッチくありませんが、長い話になってしまいましたので、ご注意を。あと、正史とは似て非なるシチュエーションになっていますので、ご了承願います。

***
 新女恒例のシングルリーグ戦も最終日を翌日に控え、武藤めぐみと結城千種の全勝対決という最高の盛り上がりを迎えることとなった。
 一方、シングルのベルトを持つマイティ祐希子は、その武藤と結城に敗れ2敗となり、優勝の可能性を失っていた。

「お疲れ様です。」
 試合を終えて会場を出る祐希子に、なじみの番記者が声を掛ける。
「お疲れ~って、私なんかより武藤と結城に話を聞きに行ったほうがいいんじゃないの?」
「いいえ、リーグ戦の優勝者が次期シリーズでベルトに挑戦するんです。ぜひチャンピオンの話を聞きたくて。」
 祐希子の意地悪な問いに記者は答える。どうやら簡単に終わりそうにない。
「そう。立ち話もなんだし、あっちで話しましょ。」
 目に入ったファーストフード店に入り、2人掛けの席に座る。

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それは本当か?キバヤチ

 新日中継「金本VS田中」。
 金本のキック。田中の顔面、側頭部に的確に足の甲をぶつけるテクニックがすごいです。ただ、同じジュニアヘビーの体格でも、インディー時代からヘビー級の技を受け、ヘビー級を倒す技を身につけた田中のタフネス、それにチャンピオンとして、団体のトップとしての誇りが金本を上回った試合でした。耐久力関係ないアンクルホールドを耐え切られたのが金本の敗因でしょう。
 それにしても「スライディングD」のDって何だろうと思ったら、「弾丸エルボー」のDだったんですね。レッスルだと佐尾山あたりが覚えそう。小柄だけど憧れの来島のような破壊力を持った技って事で。
 あ、あとブレーンバスターで投げた後、首をホールドしたまま起き上がり、もう一度ブレーンバスターを決める技が面白かったです。名前あるの?あれ。
 中西、金本を破った田中に挑戦状を叩きつける永田。IWGP奪還はいいんでしょうか。何となく本筋から外れてしまった選手たちの戦いは続く…。飯塚はうまいことメインスリームに乗っかったなあ。

 さて、本物の復活に合わせて、我らがWAR(レッスル・エンジェルス・ルポタージュ)が帰ってきたようですよ。

ナハヤ「ムヒョ~。これはなんてペント○ウスかプレイ○ーイって感じだなあ。」
キバヤチ「どうしたんだ、ナハヤは。」
タネカ「電撃PSに末次キャラが公開されてから、ずっとあんな調子ですよ。」

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リンク報告と告白

「NEW WIND」様の許可を頂きましたので、リンクを貼りました。今後ともよろしくお願いします。

 さて、先日挑戦しました「SSアカデミー」でも触れていましたが、試合を書くには試合を見て勉強する必要があります。
 で、いつか言おうと思っていたので、ここで告白します。

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「2分、ハイキック」に挑戦

「NEW WIND」様のSSアカデミー第4回「試合について」の中で、「エースが試合開始2分、ハイキック一発で新人を倒す」という興味深い題材があり、わたくし無謀にも挑戦してみました。新人は例題と同じく神田幸子、エースは伊達遥の設定です。

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ボンバー来島の乱 番外編~余波~

 市ヶ谷軍の控え室。
「あなたらしくないわね。花を持たせるような真似なんかして。」
 南の問いに、市ヶ谷がふふんと鼻で笑う。
「あの猪女のことかしら?あれはほんの戯れ。おかげで祐希子の泣き顔も拝めたことですし、楽しいシリーズでしたわ。それに…。」
「それに?」
「今日の試合は色々と参考になりましたもの。予想外の収穫ですわ。」
 嬉しそうに微笑む市ヶ谷。
「確かに…。」
 祐希子の腰を責めるという発想は今までになかったパターンだ。ふむと、南の目が勝負師のそれになる。その姿を、市ヶ谷が珍しそうに眺める。
「何?」
「あなたもベルトに興味を持ったのかしら?」
「…そうね。」
 市ヶ谷の意地悪な質問に、南は素直に答える。
 あれだけの試合を間近で見て、何も感じない訳がない。
「あの熱さを感じることができるのかしら。私でも…。」
「さあ、私には日常のことですから。日陰者のあなたでは、干からびてしまうかもしれませんわよ。」
 失礼な物言いだが、いつものことだ。それに、あながち的外れな指摘でもない。今の自分にタイトルマッチは正直まぶしすぎる。
「挑戦したいのでしたら、私がチャンピオンになった最初の防衛戦に指名して差し上げますわ。」
 すでにベルトを奪った気でいる市ヶ谷だが、南は首を横に振る。
「いいえ、私は私のやり方でいくわ。それに、次に祐希子と戦うのはあなたって決まったわけじゃないでしょ。」
「あら、私から挑戦権を奪うつもりかしら?」
「…必要なら。」
 南は言い残し、控え室を出る。残された市ヶ谷はおかしさの余り、声に出して笑ってしまう。
「ようやく欲を出しましたか、南さん。ホホホ、面白くなってきましたわ。」

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ボンバー来島の乱 その7~絆~

 カンカンカンカンッ!!
 聞き慣れたゴングの音とともに全身の力が抜ける。
「何が…起きたんだ…?」
 状況が飲み込めないまま、ようやく自分がダウンしていることに気付く。
 上半身を起こすと、勝ち名乗りを受ける祐希子の姿が目に入る。
「…どうして…?俺のラリアートが決まったはずじゃ…。」
「フィニッシュはジャパニーズ・オーシャン・サイクロン・スープレックス。…あなたの負けよ。」
 冷えたタオルを来島の首にあて、南が事実を告げる。
「…返したのか…あれを…。」
「ええ、惜しかったわ…。本当に…。」
「そうか…。俺の負けか…。」
 あれだけこだわっていたの勝利への執着が、嘘のように消えていく。
「だったら、やることは一つだ…。」
 どうにか立ち上がる。左ヒジも頭も痛むが、大事はなさそうだ。
「世話になったな。」
「いちいち義理堅いんだから…。」
 苦笑いを浮かべる南に背を向け、歩き出す。

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ボンバー来島の乱 その6~祐希子戦~

 ついに迎えた、マイティ祐希子VSボンバー来島のIWWFヘビー級タイトルマッチ。満員御礼となった会場中心のリング上には、ボディチェックを済ませた祐希子と来島がにらみ合っている。
 元気を取り戻した祐希子は体のハリも良く、心身ともに調子を取り戻したようだ。その顔には笑みすら浮かんでいる。
 一方、今シリーズ絶好調の来島もまた、勢いを持続したまま今日という日を迎えていた。
「へっ、やっといつもの顔に戻ったみたいだな。これで遠慮なくぶっ潰せるってもんだ。また、泣きべそかかせてやるぜ。」
「遠慮なんかせてたら、そっちが泣くことになるわよ。」
 来島の挑発を祐希子がかわす。
 
 互いにコーナーへ戻る。来島のセコンドには南がついていた。
「まさか、あなたに先を越されるとはね。」
 南が声を掛ける。
「あんたの一言のおかげさ。あれがあったから俺はここまでこれた。サンキュウな。」
 笑顔で応える来島に、南は肩をすくめる。
「余計なことは言うもんじゃないわね。タイトルマッチだっていうのに、にこにこ笑ってるし。」
「ああ、楽しいぜ。祐希子と、こんな大舞台で戦えるんだ。楽しくって仕方がねえや。」
 まるで、遠足当日の子供のようだ。
「…妬けるわね、まったく。」
 私もベルトに挑戦してみたくなるじゃない。来島の笑顔を見ながら、南は言葉を飲み込んだ。
「時間ね、せいぜい頑張ってきなさい。」
「ああ、出し惜しみなしの全力だ!」

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ボンバー来島の乱 その5~実現!~

 市ヶ谷軍に参加したボンバー来島は話題性だけでなく、実力でも今シリーズの目玉となった。シングルでは苦手とする関節マスター、ナスターシャ=ハンをパワーで圧倒し、南とのタッグでは現タッグチャンピオンの武藤・結城組をノンタイトルながら打ち破るなど、無敗の大活躍。「今の来島さんには勝てない。」武藤めぐみのコメントが、来島最強説を唱える一部のファンを喜ばせた。
 一方のマイティ祐希子は、集中力のない精彩を欠いた試合運びで、ファンを失望させることとなる。
 来島と祐希子の対戦はタッグのみながら、多く組まれていた。開幕戦と違い、直接対決も見られたが、感情的に突っかかる祐希子を来島があしらう展開がほとんどで、あげく乱闘騒ぎとなる始末。つまらなそうにリングを下りる来島を、呼び止める祐希子の姿が毎度おなじみの光景となってしまった。

 そして、事件は起きる。

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ボンバー来島の乱 その4~一夜明けて~

「ひどい姿ね。」
 事務室に祐希子を呼び出した理沙子は、スポーツ新聞を放り投げる。
 一面には泣き崩れる祐希子がアップで掲載されていた。
「試合はもっとひどかったけど。」
 理沙子の言葉に答えることなく、祐希子は憮然と新聞を眺める。その目は充血し、腫上がっている。一晩中泣きはらしたのだろう。
「あなたはウチのエースなのよ。しっかりしてもらわないと。」
「理沙子さんは…。」
 祐希子は理沙子をにらみつける。
「理沙子さんは知っていたんですね。恵理が市ヶ谷と組むってこと…。」
 来島の入場曲が流れたこと。さらに、メインイベントまでに休息を取らせるためとしか思えない、休憩前のシングルというカード。
「…ええ。」
 肯定する理沙子。ばんっと事務机を叩き祐希子が抗議する。
「どうして、そんなこと許可したんですか!?」
「これは、恵理が決めたこと。私は彼女の意志を尊重しただけよ。」
 冷静に理沙子が答える。
「嘘!恵理が私を裏切る訳ない!だって、恵理は私の親友で、パートナー…。」
 ぱあぁぁぁぁんっ!!
 言い終えるよりも早く、理沙子の左手が祐希子の頬を打つ。
「いいかげんにしなさい!いつまでも子供みたいに…!」
「だって…分からないんです…。恵理が私に黙って出て行くなんて…こんなこと…。」
 あれだけ泣いても、まだ涙がこぼれる。
「まったく…。こんな事も分からないなんて…。」
 人のことは言えないけれど。と、理沙子は心の中で付け足した。

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ボンバー来島の乱 その3~フラストレーション~

 新シリーズ開幕戦のメインイベント。リング上にはマイティ祐希子、菊池理宇組がすでに入場していた。
 対戦相手はビューティ市ヶ谷、X組。Xとはいかにも全盛期の遺物のような触れ込みだが、海外団体のチャンピオンクラスでも突然連れてくる市ヶ谷のこと、ファンの期待も否応なしに高まる。
「市ヶ谷さん、どんな人を連れてくるんでしょうか…。」
 一方、対戦するレスラーはたまったものではない。菊池が不安げに祐希子に話しかける。だが耳に届いていないのか、答えはない。
 ここにきて、まだ祐希子は集中できずにいた。
「恵理…。」
 トレーニングルームでの一件以来、祐希子は来島に避けられていた。ろくに会話を交わすこともなく、練習も別メニュー。せめて相部屋の宿舎でと試みるが、来島は外泊続きで一人夜を過ごす毎日。祐希子の不安は日を追って増すばかりだ。
「祐希子さん!」
 菊池に肩をつかまれ、我に返る。
「…来島さんのことですか?」
 心配げな菊池の問いに、笑顔で首を振る祐希子。
「開幕戦は、いつになっても緊張するわね。」
 いつも祐希子を見つめている菊池には、嘘だと分かる。
「祐希…。」
 菊池の声を、大音響が掻き消す。荘厳なテーマが会場中に響き渡る。
「おーほっほっほ!全国六百億人のファンの皆様、お待たせいたしましたわ!。」
 ビューティ市ヶ谷が悠然と花道を進み、リングに上がる。しかし、肝心のXの姿はない。
「おや、久しぶりかと思えば何ですの?その冴えない顔は。このずん胴娘。」
「うるさい、埼玉!あんたこそ一人でやって来てどうするのさ!大方Xさんに逃げられたんでしょ、高飛車女!」
 市ヶ谷の挑発に祐希子のペースが戻る。だが、市ヶ谷の余裕の笑みは崩れない。
「ゲストをもてなすには、それなりの演出が必要ですのよ。さあ、紹介しますわ!我が新しきパートナー!」
 入場テーマが鳴り響く。聞き覚えのある曲に会場が一気にざわつく。
「えっ?この曲…?」
 誰よりも祐希子が驚愕する。ついに、入場曲の主が花道に姿を現す。
「その名も、ボンバー…」

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ボンバー来島の乱 その2~苛立ち~

 ギシッ!ギシッ!ギシッ!
 トレーニングルームの一角。正規の練習時間を終え他に誰もいないこの部屋で、ボンバー来島はマシーンと格闘していた。
 ギシッ!ギシッ!ギシッ!
 無心でウエイトマシーンに挑むこの時間が来島は好きだった。悩み事も普段ならどこかへ飛んでいってしまうからだ。
 ギシッギシッギシッギシッギシッ…。
 ペースが上がる。だが、来島の表情は冴えないままだ。
「…ッ!ダメだーーーーー!」
 ついに音を上げてしまう。
「…はあ…。」
 らしくもなくため息をつく。
「どうしちまったんだ、俺…?」

 実のところ、原因は分かっている。
 先日、防衛を果たし次期挑戦者を尋ねられたマイティ祐希子の口から自分の名前が出なかったことだ。
「こんな所で、何をやってるの?」
 記者会見場での南利美の言葉が頭から離れない。
「何をやってたんだろ?俺…。」

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ボンバー来島の乱 その1~そんな所~

「祐希子選手、3回目の防衛おめでとうございます!」
「はい!ありがとうございます!」

 クリスモーガンとのIWWFヘビー級タイトルマッチ。激闘の末、見事防衛を果たしたマイティ祐希子は、選手控え室で祝勝会見を開いていた。祐希子の周りにはボンバー来島をはじめ、武藤めぐみ、結城千種ら新女の選手たちが祝杯をあげている。

「30分を超える激闘でしたが、クリス選手はいかがでしたか?」
「強いよ、間違いなく。パワーもスタミナも超一流の相手だから。」
「20分過ぎにポセイドンボンバーを受けた時は、正直危ないと思いましたが?」
「そうだね、正直その辺記憶が飛んでるから。最後は意地、それだけだったね。」

 祐希子へのインタビューが続く中、周りの選手はすっかり宴会騒ぎだ。気付くとビールもジュースも残り少ない。
「おい、誰かビール持って来い!」
 来島が叫ぶものの、お祭り気分の若手の耳には入らない。
「ったく、しゃーねーなー。」
 頭を掻きながら、来島は売店へビールを取りに控え室を出る。

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インチキ大予言

WAR(レッスル・エンジェルス・ルポタージュの略、昔あった団体ではない)調査班事務室にて。

キバヤチ「ようやくサバイバー2のキャラが公表されたな。」
ナハヤ「ああ、既出だがチョチョカラスたち3人だな。」
イゲタ「末次氏の描く外国人選手は魅力的で、他の選手も楽しみですね。」
ナハヤ「あの肉付きがたまらないよなあ。ヘヘヘ。」
タネカ「まったく、ナハヤさんは…。」
キバヤチ「おかしいとは思わないか?」
イゲタ「何がです?」
キバヤチ「レッスルのメインはマイティ祐希子を始めとするHal氏のキャラだ。公開するならそっちからじゃないのか?」
タネカ「確かに…。冬コミで配布されたクリアファイルも末次氏の復活外国人でしたね。」
イゲタ「前作から登場する日本人キャラは、前作の使いまわしってことじゃないですか?それで、前作との違いを前面に出すために末次キャラをメインに置いているのでは。」
ナハヤ「それに、今Halキャラを売りにすると「アオイシロ」とかぶるって言ってたのはお前じゃないか。」
キバヤチ「ああ、一番の理由はそうだと思う。ただ、妙に違和感があるんだ。」
タネカ「違和感?」
キバヤチ「今回、池神Pはやたら外国人キャラに力を入れているんだ。復活キャラアンケートにしても、日本人キャラについては行っていない。」
タネカ「普通なら提携団体の外国人じゃなくて、育成可能な日本人のアンケートを取るでしょうね。」
ナハヤ「今回は外国人選手も育成できるようになるんじゃねーのか?俺もどうせならムチプリの方が育てがいがあるし。」
イゲタ「…動機はともかく、外国人の育成はすでに「愛」で可能ですしね。」
キバヤチ「外国人…育成…、そうか、そういうことか。」
ナハヤたち「…?」
キバヤチ「分かったぞ、今回の池神Pの狙いが。」

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六角葉月VS南利美 番外編~プレゼント~

「今日はお疲れ様。」
「ああ、サンキュー。」
 パンサー理沙子の酌で、六角葉月はとっておきの日本酒を飲む。
「はあ~、今日の酒は一段とうまいな。」
 南利美との濃密な試合を終えて飲む酒は、六角を心身ともに満たしていった。
「で、何て言ってた?」
 六角は理沙子に尋ねる。もちろん今日の試合のこと、それに南の処遇である。そのことを確認するために、理沙子を自分の部屋に呼んだのだ。
「かなり怒ってたけど、盛り上がったから、今回はお咎めなし。」
 社長の言葉を理沙子は伝える。
「そうかい、そりゃ良かった。」
「ただし、今度やるときは宣伝するから事前に言うように、ですって。現金なものね。」
「まあ、興行のネタが一つ増えたってことか。」
 コップを一気に空けると、ふうと息を吐く。
「でもさ、次にやるときには、あんな試合にはならないと思うな。少なくとも客の前では。」
「?」
「あのコもプロレスラーだからさ。」
 六角の答えに、理沙子はなるほどとうなずく。

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六角葉月VS南利美 その5~プロレスラー~

 おおおおお…。
 試合終了のゴングとともに、緊張感から解き放たれた会場中からため息が漏れる。

「終わっちゃった…。」 
 放心状態で六角の勝ち名乗りを眺めている南。だが、リングを降りようとする六角の姿に我に返る。
「六角さん!」
 呼び止められて、六角は振り返る。
「今日は…申し訳ありませんでした。」
 頭を下げる南にニコリと笑顔で答える六角。会場に安堵感が漂い始めた瞬間。
 パシィィィーーーーーーン!!
 六角の右手が思い切り南の頬を打った。

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六角葉月VS南利美 その4~決着~

 六角葉月が相手を本気で極めに行くのは「仕事」のときだけである。トラブルを抱えたレスラーへの制裁。プロレスラーでありながら、六角の技はプロレスに使うことはほとんどなかった。
「悪くないな。こんな試合も。」
 南利美との関節技の応酬のなか、六角もまた悦びを感じていた。己の技を誰に恥じることなく、全力で使うことができる。長いキャリアを持つ六角でありながら初めての体験であった。
「今のあたしも、こいつみたいな顔してんのかねえ。」
 恍惚の表情で自分に向かってくる南の顔を見ながら、胸の高鳴りを感じていた。
「このスリル…。イッちまいそうだよ!」

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六角葉月VS南利美 その3~南の世界~

 プロレス界に疎い南利美は、六角葉月を知らなかった。
 いや、かつてのオリンピック金メダル候補だったということはさすがに覚えていたが、新女に入団していたことなど、当時の彼女にとっては興味のない話だ。
 パンサー理沙子が呼び戻したアマレスの天才は、確かに技術は高いものの、さしたる見せ場もなく、勝っても負けても淡々と試合をこなす、典型的な「仕事でやっている」プロレスラーにしか見えなかった。
「なんで、こんな人をわざわざ呼び戻したのかしら。」
 退屈なレスラー。六角に対する南の第一印象である。

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六角葉月VS南利美 その2~試合開始~

「まいったね、こりゃ。」
 六角葉月は呆れるしかなかった。
 試合開始から3分。対戦相手の南利美は六角の隙を伺いながら距離をとるだけで、一度も組み合っていないのだ。もっとも、六角が隙を見せないからこそ膠着状態が続く訳なのだが。
「お見合いやってんじゃねー!」
「真面目にやれー!」
 焦れた観客から野次が飛ぶ。
「私はプロレスをしません。」
 昨夜の南の言葉がよみがえる。
「そうは言っても、あたしゃプロレスで飯食ってんだよねえ。」
 組み合うべく、六角は右腕を伸ばす。
 無造作に出されたその腕を南は捕らえるや否や、背後に回り脇固めに捕らえようとする。
「…ッ!マジか!?」

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六角葉月VS南利美 その1~前夜~

「六角さん。お願いがあります。」
 練習を終え、ジムを出ようとする六角の前に突然現れると、南利美は切り出した。
「何だい。お姉さん、金なら持ってないぞ?」
 軽く切り返そうとする六角だが、南は譲らない。
「いいえ、明日の試合のことです。」
「ん?ああ、そういや明日はあんたとだったな。」
 翌日の興行で六角は南とシングルで試合を組まれていた。

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初詣 ~千種~

「めぐみは何をお願いしたの?」
 初詣の帰り道。わたしはめぐみに問いかける。
「まあ、事故と怪我だけはないようにってね。」
 当たり障りのない答え。わたしが聞きたいのは、そんなのじゃないのに。
「ふうん。何か目標とかはないの?」
「それは自分の力で叶えるもの。神様や他人にお願いすることじゃないわ。」
 まったくもって、めぐみらしい。さっきの答も話に合わせた嘘なんだろう。
「あはは、めぐみらしいね。」
 そう返すしかなかった。
「…そういう千種は何をお願いしたの?」
 そんなわたしを見て、ばつが悪そうにめぐみが聞いてくる。
「わたし?わたしはねえ…みんなの無病息災と、お客さんがたくさん来てくれることと、野球でヒットがたくさん打てるようにと、それからそれから…。」
 数え上げると結構お願いしている。100円しかお賽銭入れてないけど、大丈夫かなあ。
「千種らしいね。」
 呆れたようなめぐみの顔。わたしは足を止め、一つ呼吸を置く。
「…最後に一番大事なお願い。」
 これは本当の、本気の願い。
「今年は祐希子さんのベルトに挑戦したい。」
 めぐみの表情が変わる。私の気持ちが伝わったのだろう。

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初詣 ~めぐみ~

「めぐみは何をお願いしたの?」
 初詣の帰り道。他愛のない会話の合間、千種が問いかける。
「まあ、事故と怪我だけはないようにってね。」
 実のところ、あたしは何も願い事なんかしていない。横で千種が熱心に手を合わせていたから、仕方なく合わせていただけだ。
「ふうん。何か目標とかはないの?」
「それは自分の力で叶えるもの。神様や他人にお願いすることじゃないわ。」
 そう、あたしは神頼みなんてしたことがない。結局、最後は自分の力だけが頼りなのだから。
「あはは、めぐみらしいね。」
 苦笑いを浮かべる千種。
「…そういう千種は何をお願いしたの?」
「わたし?わたしはねえ…みんなの無病息災と、お客さんがたくさん来てくれることと、野球でヒットがたくさん打てるようにと、それからそれから…。」
 千種の願い事が延々と続く。たしかお賽銭は100円しか入れてないはずだけど、こんなにたくさん叶うものなのかな。
「千種らしいね。」
 さっきの仕返しとばかりにあたしはつぶやく。
「…最後に一番大事なお願い。」
 千種の足が止まる。ほわんとした表情が消え、レスラーのそれに変わる。
「今年は祐希子さんのベルトに挑戦したい。」
 この目だ。あたしの最も恐れる、千種のまっすぐで折れない心。

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クリスマスの夜は明けて

一夜明けて、IWWF事務所。

社長「何をやってたんだ?レミー。」
目の前に立つレミー=ダダーンに、呆れた口調で問いかけるIWWF社長。
レミー「えーと、なんてゆーか…。」
返答に困って頭をかくレミー。

深夜、レミーの部屋から激しい物音と振動が宿舎を揺るがした。ミリア=メアーズはじめ、異変に気付いた選手たちが駆けつけるものの、鍵がかかっている。
ミリア「レミーさん!大丈夫ですか?何かあったんですか?」
ノックするものの、返事がない。
ミリア「レミーさん!レミーさん!」
焦るミリアはドアを激しくノックする。
ガチャリ。
しばらくして、レミーが部屋のドアを開ける。特に外傷はないようだ。
ミリア「無事だったんですね、レミーさん。」
レミー「ああ、私はな。ただ…。」
レミーの視線の先には、無残にも底の抜けたベッドが転がっていた。

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メリークリスマス

深夜、IWWF宿舎にて。

バニー「ふっふふーん、ふっふふーん♪」
上機嫌に鼻歌なんか歌っているバニー。なぜかバニースーツで。
バニー「きょ、お、わー、たの、しい、クリスマス♪」
歌詞までついた。
バニー「さあて、良い子にサンタバニーさんがプレゼントをあげちゃうぞ。」
とある部屋の前に立ち止まると、ノブに手をかける。
とその時、
ガチャ!
バニー「きゃんっ!」
ドアが勝手に開き、驚いた拍子にバニーは尻餅をつく。
バニー「あいたたた…」
???「何やってんだ、サーラ(本名)?」
バニー「見てわかんないの、レミーちゃん。サンタさんよサンタさん。」
20071224_2 レミー「いや、いつもそんな格好だから分かんない。」
部屋の主、レミー=ダダーンがそっけなく答える。
バニー「よく見てよ。サンタっぽく白いふわふわ付けてるし、チョーカーだってもみの葉っぱでしょ。」
むー、と抗議するバニー。
レミー「…で、サンタが何の用だい?」
バニー「良い子のレミーちゃんに、プレゼントを持ってきました。」
レミー「…手ぶらじゃないか。」
バニー「えへへ。プレゼントは、わ・た・し。」
バタン。
バニー「あー!閉めないでよ、レミーちゃん!」
ガチャ。バニーはドアを開けると、部屋に入る。

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