36チーム中21位という絶好の地味順位でタスキを受け取ったマスクドミスティ。軽快に下り坂を駆け下りていく。
「いいぞー!覆面の姉ちゃん!」
「ハイハーイ!」
沿道の声援に応えながら、どんどんペースを上げていく。
「小学校にもいたっけ。マラソン大会でスタートだけ目立つ奴。」
「ミスティのことだからすぐに息切れするわね。」
追い抜かれる選手達も、冷ややかにミスティの走りを観察していた。
が、中間地点の2kmを過ぎても一向にペースが落ちる気配はない。
「ボスの特訓のおかげね。」
目立ちたくはないが、無様な走りは失礼に当たる。ボスの方針の下、必要最小限のスタミナをつけるように練習を積み重ねてきた成果が現れている。
ミスティは驚く選手達を尻目に、サンバのリズムで軽やかに順位を上げていった。
第2中継地点。第3走者のミス・マスカレードがのんびり準備運動をしていた。
「21位でミスティか…。まあ私の出番は30番目ぐらいでしょうね。」
「エントリーナンバー22番!マスカレード選手、中継地点までお願いします!」
「へえ!?」
大会スタッフの声に驚くマスカレード。何せトップの選手すらまだタスキを渡していないのだ。
何かの間違いと思いつつも中継地点へ向かうと、大歓声をバックにミスティが3位という順位でタスキを掲げている。
「ごめーん、やっちゃったー!」
言葉と裏腹に満面の笑顔を浮かべている。
「ったく…。あなたらしいわね。」
やれやれとタスキを受け取り、マスカレードはスタートした。
「お前なあ…。」
ボスは呆れた表情でミスティに向かう。
「お客さんがいっぱい声を掛けてくれたからつい…。」
指示を無視した以上、さすがにミスティも小さくなる。
「まあ、スタミナをつける訓練をさせたのは俺だし、そもそもお前に目立つなと言うのが無理な相談だったな。」
肩をすくめるボス。内容の割に言葉のトーンは優しい。
「それにしても。ずいぶんと嬉しそうだな。」
区間賞のメダルを大事そうに抱えるミスティ。目は少し潤んでいるようだ。
「だって私、プロレスでも一等賞なんて取ったことないもの…。1が付くものなんて第一試合だけよ…。だから…。」
「そうか…。」
ボスはぽんぽんとミスティの肩を叩く。
「今回は不問にしといてやる。よく走ったな、ミスティ。」
「ありがとう、ボス…。」
「それに、マスカレードが地味に順位を落としてくれるさ。」
「クシュン!あっ、今のくしゃみの間にまた抜かれた!」
***
「第2回レッスル駅伝」。吉良吉影のように地味にレースを終える予定だった、我が「関東覆面選抜」。ところが、まさかのミスティ区間賞というハプニングで目立ってしまいましたので、レースの裏側を書いてみました。
4区は覆面キャラで最も地味なあのお方なので、このままひっそりと前半を終えると思います。
コメントを頂きました。ありがとうございます。返事はつづきから。
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